【猫1匹】幸せな毎日をつくる 106
ここは世田谷区宇奈根。自然豊かな懐かしさがただよう静かなエリア。ここではバス便が主な交通手段となる地域です。そこだけを切り取ると少し不便な場所に感じるかもしれませんが、ここにならある、ここにしかない暮らし方がありました。
今何気なく住んでいるところ、前の人はどんな風に暮らしていたのかな。大家さんってどんな人なのかな…。それは普段、私たちがお部屋を借りる時にはほとんど耳にする機会はないこと、だと思います。
今回のアパートのお部屋は、自分の気に入ったお部屋で暮らしてほしいという大家さんの想いで叶う、カスタマイズして一緒に作っていく住まい。入居時期は完成してからです。
内容に関しては、入居者さんの希望を伺いながら大家さんと一緒に構想をつくっていきます。壁紙が貼られていない状態のお部屋ではじめまして。壁・天井は、好きな壁紙を選ぶか、塗装が可能。柄物のクロスや、淡色からシンプルなものまで。ん〜迷いますね。(仕様によっては一部入居者負担となります)
塗装に関しても、大工さんに見守ってもらいながら作業することができます。その他にも、軽微な棚の設置なども相談することができます。(了解を得た内容は退去時の原状回復不要です)
以前このお部屋に暮らしていた方や、他の住民のみなさんがどんな風にアレンジをしているのか、そんな話をしながら考えてみるのも楽しそう。
▼こちらは別のお部屋。塗装壁やイエローのクロスも好みでカスタマイズされています。
床はヒノキの無垢材。今回新しく貼られたそう。他のお部屋も見せていただきましたが、このフローリングが少しずつ、生活とともに味が出てくる感じも愛でていたくなりました。猫さんも1匹まで一緒に暮らすことができますよ。
そしてもう一つ、DIYできるだけではない暮らしが。ここのアパートのある区画には、実は他にもコーポラティブ長屋(そちらの記事もご覧ください)が建っていて、小道で続くように建物同士が建っているんです。このアパートの大家さんと長屋の大家さんはそれぞれ別の方ですが、この地域のことや、少し先の未来のことなど、大きな視点で考えられ、暮らす人々のゆるやかなつながりが生まれる場所になっています。
長屋には、住居としてだけでなく、店舗や事務所、カフェとして住まわれている方々がいます。お散歩中、庭いじり、すぐそこのカフェで。小さな出会いの連続の中で自然的につながる人々の暮らし。
そんな風景が見えてくると、昔近所のおばちゃんにお菓子もらったり、一緒に犬の散歩してたな〜…と懐かしく思い出しました。きっとそういうことなのかもしれないな。子供のころは当たり前だったけど、いつの間にかそういう気持ちを忘れていたかも…。
ただ住んで、引っ越して、終わり、ではない。どこか考えが似ていたり、この場所に魅力を感じたり。そんな人々が集まり、隣人を思いやることで、消費しない循環がある暮らしが生まれていく。忘れかけていたけれど、実はみんなの中にある理想なのかもしれません。