風からあなたへ、伝えたいこと 305
「吾輩は風である。名前はまだ無い」
はっぴいえんどの”風をあつめて”という曲は、言い換えれば私(風)が集められているということだ。THE BOOMの”風になりたい”は、つまり宮沢氏が私になりたがっているのだ。
最近は”藤井 風”という若者が有名らしいが、彼は岡山出身のただの天才なのであって、私(風)ではない。私(風)とは、風そのものなのだ。
そんなくだらないことを独り言ちながら、世田谷区は弦巻、桜新町と上町のちょうど間ぐらい、閑静な住宅街の上空らへんをそよそよと揺られて眠くなっていたところ、気になるマンションを見つけた。
ちと年季が入っているようだが、味のある外観だ。隣には緑道があり、なんとも心地よい立地環境である。人間としても風としても、心地よさとはプライスレスだ。
私は興味を抱いた。室内は果たしてどうなっているのだろう。ちょうど3階の角の窓が開いていたので、ヒョロリ~と中に入ってみた。私は風なので、人間界の法には縛られない。
間取りは2DK、玄関から入るとダイニングキッチンがあり、両側に洋室がある。床やキッチンも新品ではないが、リフォームされている。
あいにく電気は付かなかったのだが、この明るさにはエジソンもびっくり。とにかく窓が多く、太陽の光が差し込むのだ。
日光はいい。気分は前向きになるし、セロトニンは分泌されるし、発電もできる。
こちらのお部屋、ペット飼育も相談可能とのことだ。犬や猫の気持ちは人間以上…いや、人間同様に理解できないが、生きとし生けるもの、陽を浴びる気持ちよさは共通であろう。
約8帖の洋室。明るい。さすが角部屋、二面採光。心が澄んでいくようだ。
バルコニー側には足場が掛かっており(ベランダフェンスの交換工事中だった)、眺めを記録できなかったのは少々残念だが、
正方形に近くレイアウトの自由度も高いし、使い勝手が良さそうな部分は伝わるだろう。
嗚呼、出窓。出窓はなぜこんなに、魅力的なのだろう。ただ少し、出ているだけなのに。
この魅力は、きっと「なんか置ける」「なんか飾れる」という実用的な面だけではないと思う。
出窓の魅力、それはたぶん、余白。余白のスペースがあるだけで、ゆとりを感じる。そういうことなんだと、私(風)的に解釈した。
こちらは4.5帖の洋室。当然ながら窓があり、明るい。
四畳半と聞くと狭く感じるが、そこはimagine all the people. 寝室にしてもいいし、作業場にしてもいいし、衣装部屋や荷物置き、さらには趣味の部屋にしてもいい。
いずれ誰かが住むだろうこの部屋、100人いれば100人の使い方がある。目を瞑って色んな暮らしを想像するだけで、心躍る。Enjoy、音楽は鳴り続ける。
”引き戸を全て開け放ち まっすぐ抜けてくその景色
それは風の通り道 ワンニャンもなんだか嬉しそう
まるで春の散歩道 あなたは今日も生きている
風に髪をなびかせて これから始める新しい暮らし”
lyric by 風(名無し)
―――気づいたらサビができてしまった。内見してサビができるお部屋、私にとっては初めての出会いだ。名曲の予感がする。
これは才能なのか、いや、違う。この部屋がひらめきをを与えてくれたのだ。
お部屋にいながらにして、太陽を感じる。風を感じる。
なんなら歌を奏でよう。そんな暮らしを、ご提案したい。
以上、風のたよりでした。ピュ~♪